就活ナビの注意点
決定する権限を明確に付与し、その結果に対しては良くも悪くもきちんと責任を取意思決定機能の強化を実現するには、情報力・スピード・主体者の明確化という三つのファクターが不可欠であることを説明してきたが、それを踏まえた上で具体的にはどうやって意思決定型組織を構築すればいいのか。
日本企業の現状を観察すると、迅速で的確な意思決定を行うには組織全体がタテにもョコにも肥大化しすぎている。
肥大化した全体組織の中で組織ユニット間に水平および垂直の壁ができており、この壁が意思決定に要求される情報の流れを阻害し、さらに全社的な視野に立った意思決定を困難にしているのだ。
年功序列を維持するためのポスト作りによって発生した。
ある年齢に達すると形式的にでもポストを与えなければならないため、組織を細分化せざるを得なかったのである。
たとえば、一つにまとまっていたほうが業務を効率的にこなせるはずの部署が、部長ポストを五つ用意するために五つの部に分割されてしまう。
戦略的な合理性よりも年功序列に基づくポスト問題を優先させてきたわけだ。
こうして細分化された組織を、改めてSBU単位で統合する必要がある。
あくまでも戦略上の合理性を優先させるのだ。
この動きはすでにいくつかの日本企業でも見られるようになっている。
たとえば田辺製薬では、一九九三年の四月に大幅な組織統合を実施した。
それまで戦略上の合理性を度外視して必要なポストの数だけ部や課を新設していたため、組織全体が水膨れ状態を呈していたのだ。
役職者の増加は、コストの面でも経営を圧迫する。
意思の疎通や情報収集がきわめて非効率化することになる。
情報や指示が伝達の途中で曲解されることが少なくないし、ひどい場合には「こんな情報を社長の耳に入れるわけにはいかない」と部下のレポートを机の引き出しに葬り去ってしまう者もいる。
伝言ゲームを引き合いに出すまでもなく、関わる人数が少ないほど情報や意思の伝達はスムーズになるのである。
したがって、組織の統合と同時に、垂直の壁を取り去るフラット化を進めなければない組織の統合やフラット化を実施すると、役職を失う部長や事業部長が大量に発生する。
その処遇が現実的な問題になるわけだが、キャリアパスの複線化や専門職制度の充実といった方策によって解決するしかない。
非効率的な組織骨格を温存していたのでは企業活動そのものが阻害されるのだから、ポストヘの配慮に関してはどこかで割り切らなければならないのである。
トップマネジメントが的確で迅速な意思決定を下すためには、適切な判断材料を提供する支援スタッフの充実が不可欠である。
そのため、とくにトップマネジメントをサポートする情報収集・分析機能を強化しなければならない。
ここで厄介なのは、スタッフ機能の強化と同時にスタッフの削減という一見すると相反する作業を行わなければならない点である。
いま多くの企業は間接部門の圧縮を緊急課題として進めているが、当然の話だ。
従来の間接部門は生産性の低いホワイトカラーの姥捨て山のような状態になっていたから、そこを圧縮することが効率化につながるというのは原則的に正しい判断である。
意思決定型の組織運営の重要度を考えると、スタッフ機能の強化もスタッフ人員削減と同等以上に重要なテーマなのだ。
つまり、無駄な人員を削って間接部門を少数精鋭の集団に作り替えることが求められているのである。
削減すべきは非効率な官僚集団であって、闇雲に規模を縮小すればいいという話ではない。
スタッフ機能というのは、ヒューマンワークの典型である。
したがって、人材のクォリティさえ伴っていれば員数は必要ない。
三人の精鋭部隊が二○人の官僚集団と同等以上の仕事をこなし得るセクションなのだ。
だからこそ一線級のエリートを優先的に配置すべきなのである。
ところが現状を見ると、不況でモノを売れないため優秀な人材は現場にどんどん配転する傾向が強い。
現場主義、間接部門圧縮ということが金科玉条のごとく振りかざされ、スタッフ機能の弱体化が進行していることは、憂慮すべき事態だといえよう。
情報力の強化のためには、当然コンピュータを利用した情報システムの充実が求められる。
そこですでに各企業が積極的に情報システムを導入してきてはいるのだが、大半は実際に効果が上がるかどうか疑問に思われるものが少なくない。
何故なら、あらゆる部門があらゆるケースで利用できることを目指した欲張り型の基本設計になっていることが多いからである。
いってみれば、最小公倍数型の情報システムなのだ。
非常に使いにくい。
どの部門でも利用できるということは、逆にいうと、どの部門にとっても最適な設計にはなっていないということである。
ナイフもスプーンも爪切りもついている七つ道具のようなもので、どの道具を取っても本物の道具より使い勝手が悪い。
しかもスプーンしか使わない人にとっては、他の道具はただ重くて邪魔なだけだ。
情報システムも欲張りすぎると、かえって手間や時間がかかりすぎて情報の収集や分析を遅らせることになる。
たとえば、完璧にデータを揃えて使い方さえ覚えれば課長から社長まで同じだけ情報が得られるシステムを導入したとしよう。
もちろん、製造部門の課長がR&Dの進捗状況やテレビCMのスポット料金、あるいは法律の判例といった直接的には関係のない情報を入手しても、それでまったく無意味というわけではないかもしれない。
それだけの情報量を一元的なシステムで処理しようとすれば、データのインプットだけでも膨大な時間がかかる。
それが済んだとしても、オペレーションを覚えるのがまた一苦労だ。
システムが巨大化するほど目指す情報に到達するまでにキーを叩く回数が増えて面倒なものになる。
システムの設計図そのものも覚えにくい。
だから誰も使わない。
使わないからデータの穴が生じて本当に使えないものになってしまう。
まさに悪循環である。
したがって情報システムは決して欲張らず、各部門が共通して利用できるデータを絞り込んだ最大公約数型のコンパクトなシステムを目指すべきである。
たとえば宅急便のクロネコャマトが導入しているハンディターミナルや、ファミリーレストランでメニュー選定、価格設定、収益管理などに力を発揮している簡便な情報システムなどが参考にすべき好例だろう。
どんな道具であれ、何より使いやすさを優先しなければ意味がないのだ。
意思決定機能と会議は不可分の関係にある。
当然、意思決定の迅速化を実現するためには会議体の数そのものを削減しなければならない。
無駄な会議が多いことはどの企業も自覚しているらしく、この部分はかなり実行に移されているようだ。
ただ、迅速でクォリティの高い意思決定を実現するためには、会議体の数を減らしただけでは十分ではない。
会議の生産性を上げなければ、無駄な会議はやはり無駄なままなのだ。
会議の生産性を向上させるために必要なのは、その会議が何のために開かれているかというミッションを明確化することである。
会議体を一つ一つ必要か不要かと洗い直した上で、そのミッションを決定し、それに合致した参加者の選別と運営を行うようにしなければ、意思決定というアウトプットには到達しない。
会議体のミッションというのは、三つに大別することができる。
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